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人事哲学入門

今、多くの企業の人事部に決定的に欠けているのが独自の人事哲学と人事思想と科学的技術です。 "輸入物"の人事思想や制度の導入に躍起になり、上っ面の潮流に翻弄されていては、人事部は"只の管理部門"になり下がってしまいます。現在の『人事部』および人事に関わる方々にとって、"人事"こそが、明日の企業経営を左右する一大事である事を認識して頂くため、描き下ろしの連載をはじめます。

第2回:哲学について

2014年12月24日

前回よりつづく

小林: 聞き忘れましたが、あなたは『哲学』をどの様に理解していますか?勿論、『固有名詞』としての『哲学』、普通(一般)名詞としての『哲学』、それに加えて、ドイツ語圏では哲学という名詞より『哲学する』という言葉の方が多く使われている事など、結構“複雑”な概念で、日本では「思想」と混同されているので、最初に聞いておきたいのです。
また、御社には数百人の外国籍人材や海外拠点の従業員なども多いですよね。多くの場合、日本文を英文に翻訳して共有化するために『日本語と英語の併記』のようですが、御存じの通り日本語は意味論体系の言語であり、英語は文法論体系の言語で、対訳には向かない関係です。英語の微妙な表現は英語圏での生活体験や文化背景(特に一神教に対する知識)が無いと難しいはずですね。
例えば、『労働』の意味一つから大きな違いがあり、英語圏では「労働は神により与えられた懲役」でありながら、奴隷労働を禁止するという考え方を背景して「休む為に働く」という労働手段説です。一方、日本文化の背景は「多神教と仏教」ですから、「労働は美徳」です。言い換えれば、「働くために休む」のです。細かいようですが、仮に、次(☆)のような単語の関連性を、社内の翻訳担当ないし社外の翻訳会社に対し、御社としてはどんなマニュアル(翻訳規則書)を用意していますか?
枝葉末節には誤解が少ないでしょうが、肝心金目の経営方針や評価大綱などの大前提に誤解や曲解があることで、日本企業の多くに「外国籍人材の定着率」に影響が出ています。
☆doctrine≒教義≒ism≒主義≒theory≒信念≒principles≒理念≒ideology≒思想≒ideas≒理念≒philosophy≒哲学
 更に、御社の経営理念である『顧客第一主義』は、どの様に訳されているのですか?

山田:多分、customer oriented でした。意訳すると「顧客志向」すから、顧客第一主義に込められた創業者の思いの通りだ、と思います。それに、マニュアルの件は知りませんでした。その上、「労働を懲役と考えている心理と、美徳だと思っている事」では、天と地の差が出ますね。

小林:「その通り」です。ILOの 分解背景は一神教です。ですから労働時間を制限する事が正義であり、主体的な労働時間の解釈は敵視します。つまり、「労働は美徳」であってはならないのです。勿論、支配者にとっては労働者の価値観が「労働は美徳」という事が歓迎され、労働を美化しています。しかし、その表現も矛盾に満ちた不思議な概念で、私にとても理解できませんでした。そんな矛盾が露呈し出した時期に『仕事と作業』の区分が一般化し、搾取者と非搾取者という構造をソフトにすることに寄与しました。まあ、1%の資産家(社会支配者)の為に99%が隷属するという身分格差容認社会には、必要な社会操作手法ですからね。蛇足ですが、日本は、その真意を知らずに格差社会を容認する社会的マインドコントロールを政府から受けていますから、怖いですね。大半の人が気が付かない内に、“茹で蛙”ですよ。

山田:「なるほど」。ところで、労働は懲役なんでしょうか、美徳なんでしょうか?

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