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教え上手 教わり上手

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企業が持続し世代交代がなされる中、実施され続けるOJT、すなわち"手ほどき"は、組織の底力を支えている重要な行為です。しかしながら「教える側」と「教わる側」の合理性は異なるのが大前提で利害対立が生じるのか、相乗効果を生むのかは、双方の個性が影響し合う特殊な人間関係に委ねられています。
そこで本連載では、組織の生産性を高め、企業を成長に導くOJTを実践していただきたく、職場に於ける"手ほどき"の方法論について解説します。

第5回:OJTは先生‐助手の関係で成功する

2014年08月28日

●典型的な具体例

 「OJTは日常的に行われている」と信じていた大手複写機メーカーの販売部門の最高責任者から、「社内のOJTの実態を調査して欲しい」という依頼で、入社5年生以上の社員に『教えられること・教えられない事』、一年二年社員に『知らなくてはならない事・教えてもらいたい事』を調査した事があります。

 結果は、企業側の想像は完全に的外れで、私の仮説が的を射ていました。

 そもそも、調査依頼の背景は、役員会で「販売部門社員の離職率が高く、しかも転職先は競合会社だ」というトップの叱責があった事に端を発しています。まあ、この事実を私がプロジェクトをスタートさせた後で、何とも不愉快であったし、調査分析で終われず、改革支援へと長期化する事を覚悟せざるを得ず、半年で終われると思って引き受けのですが、3年はかかる、と考えただけで憂鬱な日々は続きました。

 “後出しジャンケン”で知らされた事実は、販売部門に配属された新入社員の離職率は初年度で約10%、二年度で約20%を超え、製造部門・管理部門・サービス部門の2倍以上であったのです。

 ヒアリングが進むにつれ、過去に米国に本社のある外資系の人事制度屋さんが導入支援した“成果主義制度”の運用が悪影響を与えている事がわかってきました。しかし、その制度導入が問題だと気付いている者は多かったが、当時の人事担当取締役であった現社長の意向だったので、誰も、それを問題だと指摘出来ていなかったのです。

 まあ、権力者は多くの場合は“裸の王様”であり、それ自身は日本の多くの企業で暗黙智となり、「待てば海路の日和あり」という文字列のDNAで、「今の状況の悪さは、藪を突いて蛇を出すことなく、知らぬ振りして先送りしていれば、その内何とかなる、ということの暗示しているのでしょう。

 勿論、問題の元凶は“そこ”にあるし、それを見て見ぬふりして眼前の調査分析で逃げようと思いには後ろめたさもあったが、引き受けてしまった以上は、成果を出さなければ・・・。嫌な仕事でした。

 その企業の販売部門の評価制度の中心は『個人の目標達成度』に着目した『米国式成果主義』で、目標の大半は数値と日時。ここが輸入物の制度の大問題なのだが、アメリカ被れの学者は、それは見て見ぬふりで、目標が目的の微分だという事を隠し、目標は単に目標という歴史の無い差別と格差を美とする国の文化を“理想像”していること自体が問題なのだが・・・。日本人はアメリカの理論ブランドを採用さえしていれば先進的だと思わせる事が出来るという妄想を描いている管理部門となる様なDNAが働いているのが現実なのです。

 外国産の文化や理論は、文化背景や言語文法との絡み合いを無視した直訳や、無智な日本人コンサルタントの狭い知見の範囲内での意訳により、多くの場合は使いものにはならないですが、ブランド嗜好の脳天気な経営者や管理職は、有り難がって“輸入物の制度”を使う事が“合理性の間接証明”とばかりに、数千万円を費やして無駄なものを買わされ、その副作用を修正するために、我々の様な者に、数百万円を使い、結果、更に数千万円と数年という、非生産的な時間や経済的投資を余儀なくされ、途轍もないコストとなっているのが現実なのです。ああ、お気の毒。まあ、それもDNA。

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